自己免疫疾患は、免疫系が誤って健康な体の組織を攻撃し、破壊することで発症します。
これにより、消化器系を含む身体の様々な部位に炎症や損傷が生じることがあります。
消化管は特に自己免疫疾患の影響を受けやすく、消化器系に影響を及ぼす代表的な自己免疫疾患には、セリアック病や炎症性腸疾患（IBD）などがあります。
本稿では、消化管自己免疫疾患の診断と管理に焦点を当て、消化器内科と自己免疫疾患の関連性を探ります。
目次
消化器系自己免疫疾患
消化管自己免疫疾患は、免疫系が誤って消化管の健康な細胞を攻撃してしまう疾患です。
これにより、消化器系に炎症や損傷が起こり、様々な症状を引き起こすと新潟大学消化器内科の寺井 崇二先生は言います。
代表的な消化器系自己免疫疾患には、以下のようなものがあります：
セリアック病
セリアック病は、小腸を侵す慢性の自己免疫疾患です。
小麦、大麦、ライ麦に含まれるタンパク質であるグルテンを食べることが引き金となります。
セリアック病の人がグルテンを摂取すると、免疫系が小腸を攻撃し、小腸に並ぶ小さな指のような突起である絨毛に損傷を与える。
この損傷は、栄養の吸収不良を引き起こし、栄養失調やその他の健康問題を引き起こす可能性があります。
セリアック病の症状には、下痢、腹痛、腹部膨満感、体重減少などがあります。
診断は、血液検査と小腸の生検によって行われます。
治療には、グルテンを含まない厳格な食事療法が必要です。
炎症性腸疾患(IBD)
炎症性腸疾患（IBD）は、消化管に影響を及ぼす慢性の自己免疫疾患です。
IBDには、クローン病と潰瘍性大腸炎という2つの主なタイプがあります。
両疾患とも、免疫系が消化管を攻撃し、腸の内壁に炎症と損傷を引き起こします。
IBDの症状には、下痢、腹痛、血便、体重減少などがあります。
診断は、血液検査、画像検査、内視鏡検査または大腸内視鏡検査などを組み合わせて行われます。
治療には、副腎皮質ホルモン剤、免疫抑制剤、生物学的製剤などの薬物療法や、食生活の改善、生活習慣の改善などがあります。
消化器内科と自己免疫疾患との関連性
消化器内科医は、消化器系に影響を及ぼす自己免疫疾患の診断と管理において重要な役割を担っています。
ここでは、消化器内科と自己免疫疾患との関わりをご紹介します：
診断
消化器内科医は、消化器系に影響を及ぼす自己免疫疾患の徴候や症状を認識するための訓練を受けています。
これらの疾患の診断には、血液検査、内視鏡検査、大腸内視鏡検査など、さまざまな検査や画像診断が行われます。
さらに、診断を確定し、病気の重症度を評価するために、腸の内壁の生検を行うこともあります。
治療法
消化器内科医は、他の医療専門家と密接に連携して、自己免疫疾患の治療計画を立てます。
治療の目的は、炎症を抑え、症状を管理することです。
治療には、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤などの薬物療法や、食生活の改善、生活習慣の改善などが含まれることがあります。
また、消化器内科医は治療の効果をモニタリングし、必要に応じて治療計画を調整します。
サーベイランス
消化器系に影響を及ぼす自己免疫疾患をお持ちの方は、がんなどの合併症を発症するリスクが高くなる可能性があります。
消化器内科医はこれらの患者さんを注意深く観察し、合併症の兆候を早期に発見し、タイムリーな治療を提供します。
例えば、IBDの方は、大腸がんのスクリーニングのために、定期的に大腸内視鏡検査を受けることがあります。
まとめ
消化器系に影響を及ぼす自己免疫疾患は、診断と管理が難しい場合があります。
しかし、消化器内科医は、これらの疾患の診断と管理において重要な役割を担っています。
消化器系の症状がある場合は、適切な診断と個別の治療計画を立てることができる消化器専門医の助言を得ることが重要です。
適切な治療を受ければ、自己免疫疾患の方でも健康で活動的な生活を送ることができます。
よくある質問
Q1：消化器系に影響を及ぼす自己免疫疾患の代表的なものは何ですか？
A: セリアック病は、消化器系に影響を及ぼす最も一般的な自己免疫疾患の一つです。
小麦、大麦、ライ麦に含まれるタンパク質であるグルテンを食べることによって誘発される慢性疾患です。
セリアック病は、米国では人口の約1％が罹患していると言われています。
Q2: 消化器系に影響を及ぼす自己免疫疾患は、どのように診断されるのでしょうか？
A: 消化器内科医は、消化器系に影響を及ぼす自己免疫疾患を診断するために、さまざまな検査や画像診断技術を用います。
血液検査では、自己免疫疾患を持つ人に見られる特定の抗体を検出することができます。
内視鏡検査や大腸内視鏡検査は、消化器内科医が消化管を検査し、腸の内壁の生検を行うための手順です。
CTスキャンやMRIなどの画像検査も、これらの疾患の診断に役立ちます。
Q3: 消化器系に影響を与える自己免疫疾患はどのように治療されるのですか？
A: 消化器系に影響を及ぼす自己免疫疾患の治療は、特定の疾患と症状の重さによって異なります。
消化器内科医は、他の医療専門家と緊密に連携して、患者さん一人ひとりのニーズに合わせた治療計画を立てます。
治療には、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤などの薬物療法や、食生活の改善、生活習慣の改善などが含まれることがあります。
場合によっては、手術が必要になることもあります。
治療の目的は、炎症を抑え、症状を管理することであり、同時に合併症を予防し、生活の質を向上させることです。
最終更新日 2025年5月12日
