朋和産業株式会社に品物を納めていました。

朋和産業株式会社と私とは30年に亘るつき合いがありました。

私は納入業者の営業として、長年良い面悪い面を経験してきました。

個人的には悪いことも含め様々なエピソードがありましたが、会社同士の付き合いは順調なものでした。

朋和産業は本来印刷専業の会社ですので、私の会社も印刷関連であると同時に加工も行っていましたことでお付き合いがあります。

そもそものお付き合いの発端は、あるパンメーカーの商品で新規に発売するにあたり、その包材に不都合なことがあり困っていたことでした。

それを解決できる技術を私の会社が持っていたことで指名があり、正月休暇ではあったのですが、会社全体で協力して納期に間に合わせたのです。

そのことで大変に感謝をされまして、長いお付き合いとなりました。

印刷技術の進化に伴い、資金的に機械の更新が間に合わず精度的な問題で印刷の仕事はなかったのですが、加工部門ではお役に立ててきました。

その後、パンの製造技術が進化してその包材は廃れてしまったのですが、今でもそのパンを店頭で見ると懐かしく思います。

また、納入品に不具合があることはしばしばのことでしたので、そのたびに呼ばれて返品を受けたのです。

返品金額は朋和産業株式会社の売値の金額が請求されました。

先方では逸失利益も補償するべきとの考えですから、やむを得ません。

会社の姿勢の問題なのでとやかくは言えないかも知れませんが、その時は随分利益を乗せていたのだと思いました。

私の経験ではあまりない事と感じていましたので、すっきりとはしなかったのです。

品質に問題があるとロットアウトを宣言され、全数返品になったこともあります。

社長や工場長と謝罪に言ったのですが、現場の品質に対する認識の甘さを思い知ったのです。

それを契機に、その後品質管理の部署と検査機器類が導入されました。

それまではクレームの絶えない町工場でしたので少しは安心しました。

クリスマスの時期になるとケーキの予約が始まります。

出入り業者には販売協力依頼があるため、営業としては社内と協力会社に予約の依頼をします。

大手パンメーカーのケーキであることで人気があり、ある程度の数量は確保できました。

一括でパンメーカーは持ってきますので、社内で個別に仕分けをして代金の徴収をしたものです。

後日、ケーキ代金を持って朋和産業株式会社に伺うと、先方ではケーキ代金の計算の最中でした。

かなりの金額になっていたので驚いたことを記憶しています。

 

習志野の本社

習志野の本社へはどれほど通ったことでしょう。

車の時もあれば総武線を使いタクシーで訪問することもありました。

 車の場合は問題ないのですが、タクシーで来てしまいますと、帰りが困ります 

タクシーのたまり場まではかなりの距離を歩いた覚えがあります。

会社として成田さんに行く習慣があったため、正月の年頭挨拶は成田さんの帰りと決まっていました。

現地で待ち合わせをして訪問をしたのです。

社長や幹部・同僚と揃っての訪問で、先方は工場長が応対するのが通例でした。

会議室に通されて談笑したのが懐かしく思いだされます。

30年の間には先方の担当者も出世をします。

また、部長格の人は新設の工場を任されたりしていましたが、同じ県内とは言え転勤となるはずなので大変だと感じました。

本社も新しく立て直されて非常に綺麗になったのですが、それまでは規模の大きい町工場とのイメージが強かったのでびっくりです。

大企業として発展していたのに、ある大手の傘下に入ったニュースは首をかしげる出来事でしたが、社長の判断でそのようになったものと理解しています。

どうやら、後継者問題が背景にあったことは間違いありません。

社長といえば一度面と向かってお会いしたことがあります。

クレームのため呼ばれた席に工場長と一緒にいたのですが、こちらは私一人で上司の同行がなかったため、社長の機嫌は当然悪く、私はちょっとした言葉尻をとらえられ叱責の憂き目にあってしまいました。

後日、当方も社長が謝罪に行ったのは言うまでもありません。

危うく取引停止になる所でした。

原因は協力工場のミスではあったのですが、どんな場合でも通常管理責任は私の会社にあるものと考えていますので、私の不用意な返事の内容が誤解を生むものであったと反省をしました。

なんでも先方の社長は、その日の夜に得意先に謝罪に行くとのことでしたので仕方ないことです。

当方も上司を連れていかなかったことは悔やまれますし、夕方過ぎとはいえ上司も上司なら私も私で、ことの重大さを感知できなかったことを悔やんだものです。

外から見ると朋和産業株式会社とは厳しい社風と納期絶対の中、急成長を遂げた印刷専業メーカーと映りますが、後継者問題があり会社の未来を大手会社に委ねたのだと感じています。

また、時代に合わせて設備更新を怠らず、難しいパンメーカーを相手に信頼を勝ち取ってきたのだとも感じました。

私も今は老境に入り昔を懐かしく思い出しましたが、朋和産業の益々のご発展をお祈りいたします。

最終更新日 2025年5月12日

Author: toyosa